電気に関する法律って?
あなたは電気に関する仕事をしているならば、事務系・技術系を問わずにこの記事をご一読ください。電気に関する法律を最初の一歩からかみ砕いて説明します。電験を初めて受験する人もぜひお読みください!
覚えるその1.電気事業法が憲法である!
1-1 はじめに電気事業法あり。電気事業法は神であり、憲法である。
電気を生業にしている人にとっての神が、「電気事業法」だとまず覚えてください。戦後の昭和39年に成立した歴史ある法律で、電気のビジネス(事業)をするものにとってのルールが制定されています。現代日本(戦後)の電気事業は、これが出発点でした。電気のビジネス(事業)は、電気事業法から始まったのです。ゆえに、この法律が電気に関する法律の憲法であると認識してください。この法律が幹となり、細かいルールの枝葉が規定されているのです。
1-2 電気事業法はなぜ存在する?「目的」意識を持てばわかる!
なぜこの法律は存在するのでしょうか?まずは、「目的」を調べましょう。電気事業法に限らず、法律には冒頭に「目的」が明記されています。この目的こそが、法律の存在意義であり、最も重要なメッセージです。
第1条「目的」
この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによつて、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによつて、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする。
太字はテストにでますよ!(電験の「法規」で頻出です!)
わかりやすくまとめると、この法律の最終ゴールは、以下の4つ!
- 「消費者(使用者)保護」日本の国民の利益を守るためにあります。国民が安心して経済活動をするために必須の要素です。”生産者”ではなく”使用者”です。
- 「電気のお仕事(事業)を発展」日本の会社の利益を増やすためです。経済発展のためですね。前項は国民を対象としてますが、本項は会社を対象としている感じ。
- 「安全をゲット」技術的に最も大切なことですね。安全は常に考えるべし。
- 「環境に配慮」技術者は、これも考えなければいけないよね。
上記の4つの要素をざっくり2つにまとめと、「経済」と「技術」です。だから、この法律は、事務屋(経済)も技術屋(技術)も、両方にとって重要なわけさ。
1-3 目的があるなら、手段もある!目的と手段を混同するな!
- 「経済」の目的達成 → 手段は「電気ビジネスを適正にする」(電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめる)
- 「技術」の目的達成 → 手段は「電気を使った機器(電気工作物)のルールを定める」(電気工作物の工事、維持及び運用を規制する)
というロジックなわけです。わかりましたか?
ビジネスを適正ルールを定めれば(←これは法律で明記できる=手段)、、、いずれ経済発達につながるはず(←これ自体は、本質的に法律でどうこうできるものではないよね。あくまでも法律により期待される効果=目的です)。
電気機器の技術ルールを定めれば(←これは法律で明記できる=手段)、、、”たぶん”安全や環境の確保につながるはず(←これ自体は、本質的に法律でどうこうできるものではないよね。あくまでも法律により期待される効果=目的です)。
余談ですが、「ならしめる」って日本語は、私はここで初めて聞きました。もちろん意味は分かりますけどね。
1-4 事務屋と技術屋の着目点の違い
経済の観点からは、例えばビジネスモデルの規定があります。電力の「小売事業」、「発電事業」などの事業類型を法律で明確に定めています。事務屋はまず、この部分に集中するとよいでしょう。
技術の観点からは、電気工作物のルールを理解していくことになります。例えば、〇〇という機器は、〇〇という方法で設計しなければならない、などです。技術屋は、この部分に集中することになります。
1-5 あなたが電気主任技術者なら、これを丸暗記
あなたが電気主任技術者を目指すなら、電気工作物の①「工事」、②「維持」、③「運用」という言葉を3点セットで必ず丸暗記してください。あなたの使命は、これらの3つの監督をすることです。作るとき(工事)、保つとき(維持)、使うとき(運用)、それらがあなたの出番となります。電気主任技術者の職務に関しては、後々もっと詳しく勉強していきましょう。
今日はこれぐらいにしましょう。続きます。Coming soon...