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技術士 口頭試験を不合格になるための研究 その③〜口頭試験の想定質問と回答( PART 2/4)〜☆

口頭試験の想定質問と回答:ダメな回答と良い回答 その2

  本記事では口頭試験でよく問われる質問に対して、ダメな回答と良い回答を掲載しています。なぜダメなのか・良いのか、その理屈をおさえれば、自分なりの回答集を作成できるでしょう。自分なりの回答集が作成できれば、合格に一気に近づきます。

 

 Q.「業務内容の詳細でも業務経歴でもどちらから選択してもよいのですが、業務上においてコミュニケーションで苦労した経験を教えてください」

×「苦労した経験は特にありません」「取引先は無口で不愛想な職人気質な人が多く、仲良くなるまでに時間がかかりました」

「△△△のプロジェクトにおいて(←具体的な業務をあげて実体験であることをアピール)、クライアントやベンダーだけでなく、地域住民や官公庁といった幅広いステークホルダー(←多様な関係者との間で業務を履行したことをアピール)が存在したために、各ステークホルダーの技術的な知識レベルが大きく異なる状態でした。そのため、技術的事項を明確かつ効果的(←技術士におけるコミュニケーション上のポイント)に伝達することには苦労しました」

 

 →「苦労した経験なし」という回答は技術士に必須であるコミュニケーションの経験が欠落しているとみなされ、一発アウトでしょう。コミュニケーション一つとっても、普段から創意工夫や留意すべきことを考えながら、多様な関係者と業務を遂行すれば、苦労した点の一つや二つぐらい、あって当然ですから。「「無口で無愛想」という回答は、"コミュニケーション(能力)=誰とでも仲良くなること"という誤った認識に由来するもの。これはイケイケな大学生によくある勘違いです。

 技術士の世界のおけるコミュニケーションは、以下のことを意味します。

<コンピテンシー:コミュニケーション>

  • 業務履行上,口頭や文書等の方法を通じて,雇用者,上司や同僚,クライアントやユーザー等多様な関係者との間で,明確かつ効果的な意思疎通を行うこと。
  • 海外における業務に携わる際は,一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え,現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。

 "明確かつ効果的"というのがポイントです。明確=誤解のないように、効果的=分かりやすく、ということです。大事なことですから、もう一度言いましょう。

"コミュニケーション(能力)とは、誤解のないように分かりやすく情報を伝える、あるいは受け取る能力のこと"

これが技術士の世界における「コミュニケーション」という言葉の意味です。これを頭に叩き込んでください。また、コミュニケーションといえば何となく口頭での意思疎通を想像する方もいるかもしれませんが、これは誤解です。文書での情報伝達もコミュニケーションの一種です。ご注意ください。

 模範回答では、"多様な関係者"と”明確かつ効果的に意思疎通を行うこと"という観点で、苦労したことを素直に回答しています。

 

Q .「コミュニケーションを図る際には、どのような点を工夫してどのような点を留意しましたか?」

×「誠心誠意、相手に納得してもらうまで熱意をもって長時間粘り強く説得しました」

「誤解やヌケモレを防ぐため、重要な意思伝達は必ず書面にて実施することを留意しました。書面では数値データや図表を使用し、相手が理解しやすいように工夫しました」

 

→誠意も非常に大事ですが、それは感情に訴える力技であり、技術者でなくてもできること。誠意を見せるのは事務屋でもできるわけです。さらに、長時間の説得というのは説得力(コミュニケーション力)がないことの裏返し。分かりやすい話や文章を心がける、信頼性のある数値データを提示する、といったコミュニケーションの「質」が高ければ、誠心誠意や長時間といった「量」に頼る必要はないのです。私が面接官なら、この回答に対してコミュニケーション能力は0点と判断します。(もちろん、ビジネスにおいても人は論理だけではなく感情で動くため厄介なのですが、技術士試験はあくまでもビジネスにおける論理を問う国家資格です)

 コミュニケーションを図る際に大切なことは、明確かつ効果的に意思疎通を行うこと=誤解のないように分かりやすく情報を伝えることでしたね。であれば、基本的にコミュニケーションは書面主義をとるべきです。書面であれば、図表や数値を盛り込むなどの工夫ができますし、記録が残ることにより、忘却による情報の損失も防げます。口頭だとこのような情報伝達上の工夫が難しいのです。書面による情報伝達は人によって巧拙の差が如実に現れますが、口頭による情報伝達はあまり巧拙の差が出ない、とも言えます。

<補足>もし海外が絡む業務でしたら、外国語で意思疎通する難しさと文化的多様性に関して言及しましょう。

 

Q.「業務内容の詳細でも業務経歴でもどちらから選択してもよいのですが、リーダーシップを発揮した業務や経験はありますか」

×「リーダーシップを発揮した経験はまだありません。若手ということもあり、基本的には上司からの指示のもとで業務を遂行する立場でした」

○「はい、あります。△△のプロジェクトでは、現場(工事現場、工場、事業所など)(←現場感覚をアピール)や取引先、社内の他部署(←多様な関係者をアピール)の状況を適切に把握することで、誰がいつ何をするか、ということを明確化し、適切なタイミングで担当者へ作業指示を実施しました。また、業務を進めるうえでは、品質を担保した上で、プロジェクト遂行のコストが最小化できるように、調整することを意識していました」

 

 →いくらなんでも発揮した経験がない、というのは酷い回答です。技術士たるものリーダーシップが必要である、と明記されているのに、その経験がないというのですから。経験がないという主張は、出来ませんという主張と同義です。(経験はないけどできます、と主張するのは、車を運転した経験はないけど運転はできる、と言い張るようなもの)

 技術士の世界のおけるリーダシップは、以下のことを意味します。

<コンピテンシー:リーダシップ>

  • 業務遂行にあたり,明確なデザインと現場感覚を持ち,多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
  • 海外における業務に携わる際は,多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに,プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。

  多様な利害関係者を調整することがリーダーシップです。ですから、回答には必ず利害の異なる関係者を複数登場させましょう。同じ部署の人間を複数登場させてもダメですよ。同じ部署なら基本的に利害は一致しているはずなので、”多様な利害”の関係にありません。利害が異なる他部署ならOKです。

 

 

Q.「もう一度〇〇の業務をするなら、どうしますか?」

×「同じようなやり方でもう一度実施します」

○「制御ソフトのデバック作業期間の短縮を実現したいです。△△はデバック作業におよそ半年かかるのですが、その大部分が1万点もある入出力信号の単純なチェックに費やされます(←成果やその波及効果を評価)。入出力信号の単純なチェックを自動で実施するツールを作成し、デバック作業期間の短縮を実現(←業務の改善をアピール)したいです」

 

→何でもいいので改善点を回答しましょう。科学技術の世界において、改善点がない、なんてありえないのですから。QCDの何か一つぐらい、必ず改善点があるはずです。

これは技術者の資質「評価」に関する質問です。

 技術士の世界のおける評価は、以下のことを意味します。

<コンピテンシー:評価>

  • 業務遂行上の各段階における結果,最終的に得られる成果やその波及効果を評価し,次段階や別の業務の改善に資すること。  

 要は、あなたは技術者として自分が作った製品が良いのか悪いのか、正しく評価する能力がありますか?ということです。科学技術に関する高度な知識があって、さらには天才的な発想もあって、様々な新製品を生み出すことができる人でも、その新製品を正しく評価をする能力がなければ、ポンコツ(安全、環境、コスト、納期、社会的ニーズなどの面で好ましくない製品)を生み出す可能性が高い。

 また、物事を正しく評価できない人は、何がよいのか・悪いのか、という判断ができませんので、業務の改善をすることができません。下手すれば、業務の改悪をしてしまいます。だから、技術者にとって物事を正しく評価する能力は非常に大事なのです。

 模範回答では、製品作成途中のプロセスに関して言及していますが、製品そのものの評価に言及してもOKです。業務遂行上の各段階における結果ですから、計画段階から製品が完成した段階まで、いろいろな段階において言及が可能ですね。

 

Q.「失敗例はありますか?」

×「はい、△△設備の△△の部品が破損しました」

○「はい、△△設備の△△の部品が破損しました。破損の原因としては、△△という特殊な条件を設計時に考慮していなかったことによります。その経験を反省し、再発防止として△を社内でデザインレビューすることを標準化しました」

 

→面接官が知りたいのは、あなたは失敗例から何を学んで、今後その経験をどう生かすか?という技術者としてのセンスです。単純に事実を述べるだけではなんの得点にもなりません。失敗から謙虚に学べる技術者であることをアピールしましょう。失敗例を聞かれたら、原因と今後の再発防止や対策をセットで述べましょう。

 

Q.今後の展望はありますか?

×「えーと、、、特に考えていません」

○「AIを活用し、△△を実現したい」

 

→何も考えていない、というのはあり得ない回答。科学技術の進歩に終わりはありません。技術者たるもの、とにかくたゆまぬ改善・改良の繰り返しです。もし改善・改良が思いつかなくても、とりあえず、AIやICT/IoTを持ち出せばそれらしい回答はできるのでは?笑

 

Q.マネジメントはどのようなことを工夫または留意して業務を遂行しました?

×「メンバーの能力に応じて、適切な人員配置を心がけました」 

○「まずは工程を明確化したうえで、工程を遵守できる範囲で コストが最小化されるようにリソースを配分しました。にまた、人員計画では負荷の山と谷がなるべく出現しないように、人員の配分には留意しました」

 

→「マネジメント=人のやりくり」ではありません。「マネジメント=リソース(ヒト、モノ、カネ、ザイ)のやりくり」です。したがって、ヒトのやりくりだけで終わらないように注意しましょう。また、ヒト、モノ、カネ、ザイにはそれぞれトレードオフの関係(例えば、ヒトをたくさん投入すればカネがかかる)がありますので、リソースの適切な配分に留意したことを言いましょう。

 

技術士の世界のおけるマネジメントは、以下のことを意味します。

<コンピテンシー:マネジメント>

・業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において,品質,コスト,納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項,又は成果物(製品,システム,施設,プロジェクト,サービス等)に係る要求事項の特性(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等)を満たすことを目的として,人員・設備・金銭・情報等の資源を配分する
こと。

 上記の言葉を何度も反芻してください。決して難しいことを言っているわけではありません。当たり前のことを言っているだけです。

 余談ですが、部下もいない平社員にマネジメント能力を求めるのはおかしいのでは?という意見がありました。残念ながら、その意見は的外れ。マネジメントは人のやりくりを決めることではありません。あなたが言われたことだけをやる純粋な流れ作業の作業員であれば別ですが、そうでなければ、たとえあなたが新入社員であっても、何らかのマネジメントはしているはずです。よく考えてみてください。

 

 技術士 口頭試験対策の第一歩

 不合格になるための研究その① :口頭試験を受験する際の基本

 不合格になるための研究その②:口頭試験の想定質問と回答( PART 1/4)

 不合格になるための研究その③:口頭試験の想定質問と回答( PART 2/4)(本記事)

 不合格になるための研究その④:口頭試験の想定質問と回答( PART 3/4)

 不合格になるための研究その⑤:口頭試験の想定質問と回答( PART 4/4)